経済・経営
経済新潮流・2012年3月
経済の新しい潮流を感じさせる記事について、いくつかコメントしたいと思います。
タブレットやノートPCに変身する携帯電話「Padfone」–Asus発表
Padfoneを「Asus Padstation」に入れると、端末が10.1インチのタブレットに様変わりする。ウェブ閲覧やメディアの再生、アプリケーションなど、携帯電話で利用できたすべての機能が使用できる。スピーカーフォンやBluetoothヘッドセットを利用した通話も可能だ。
スマートフォンとタブレットはかなり重複する部分もあり、双方の回線を契約するのももったいないのでwi-fiでつなぐという方法などもありますが、どうしても電池消費量が大きくなってしまいます。そこで考えられたのがこういう形式なのでしょうが、タブレットとスマートフォンの機能を同時に使いたいということもままあり、そういう時に対応できないことが玉に瑕かと思います。
続いては、弁理士業などのサービス産業にもシンプル化の波が来るという話。
このような売れ筋商品の構造変化は、自動車だけでなく、さまざまな分野で同時進行している。
日本の家電メーカーも、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、TVなど様々な家電商品において、豊かな日本人が好んできた「高機能・高品質・高価格」な商品から、需要が旺盛な中国、アジア、その他新興国の消費者に選ばれる「シンプルで安価な価格」の商品開発にまい進している。
さらには、この動きは物だけでなく、商取引などサービズの分野の手法やルールにも変化をもたらすだろう。これらの構造変化をチャンスとして生かせる企業は、大きな成長が期待できる。
国際的なニーズに応えていくためには、どうしても多様なニーズに応えていくことが必要ですし、競争社会でエッジを利かせていこうと思えば、そのどこかのニーズに絞るといった工夫も必要になってきます。少なくとも、世界に多様なコネクションを持ちたいということであれば、英語を駆使することと、多様なニーズに応えられる体制を構築することは不可欠であり、新興国を相手にするのであれば生産性の向上を通してシンプルかつ安価なサービス提供を実現する必要があるということでしょう。
0行動経済学の最先端
訳書が出たらすぐにでも読みたいなと思わされた本です。
著者はシステム1をフロイトの無意識のような神秘的な存在と考えず、システム2の遅い思考と互換的な速い思考と考える。(中略)逆にシステム1による自動的な情報処理が、うまく機能しないことがある。それが著者の初期の業績でバイアスとして示されたものだ。(中略)
このシステム1とシステム2の役割分担は、人によっても文化圏によっても違う。日本人に応用すると、日本の製造業の「すり合わせ」の効率性は、システム1で情報処理していることによるのではないか。誰も命令しなくても多くの人々が緊密に情報交換しながら整然と行動する日本人の特長は、震災でも世界から称賛されたが、システム1で共有している情報が多く、人々の均質性が高いためだろう。(中略)
逆にアメリカ人はシステム1で共有している情報が少ないため、ほとんどの処理をシステム2で行ない、問題を契約や訴訟で論理によって解決しようとする。このような情報処理は効率が悪いのだが、システム1が個別の文化圏に依存するのに対してシステム2には普遍性があるため、新古典派的な合理主義が一定の有効性をもつ。
カーネマンのアプローチをうまく文化論に絡めてあり、うまい説明だなと思いました。
行動経済学は、現実への応用が利きやすいということで一般大衆の興味も大きいところです。こうしたシステムの話も、グループの統括の際の参考としても使えるし、俗っぽく言えばこうしたシステムへの理解は人心掌握術と深くかかわるところでもあります。
こういう話を噛み砕いたポップな書籍も数多く出てくるでしょうが、原典に当たって自分で思考をめぐらすという方が実際に思考している分、脳に染み渡ると思います。本質を逃さないと言う意味でも、近いうちに読んでみたい本です。
0デフレは構造的な問題
アゴラでデフレ論争が盛り上がっているので、おもしろいと思った記事を二つほど。
日本のデフレはグローバル化と相対的に低い経済成長率で説明できる
ところが日本では、高齢化、人口減少、硬直した労働市場と資本市場などのために、経済の潜在成長率が諸外国に比べて低い。つまり、G[j] < G[a]となる。G[j] > R[j] なら金融緩和で、G[j] < R[j]なら金融引き締めだ。しかし、R[j] = R[a] = Rだとすると、相対的に潜在成長率の低い日本は、G[j] < R、となってしまい、相対的に潜在成長率の高い他国は、G[a] > Rとなってしまうのである。つまり実質金利が世界でひとつに収斂していく一方で、ヒトのグローバル化が不十分なために、潜在成長率の違いが国ごとに現れてしまう。そして日本のような成長率の相対的に低い国には常に金融引き締めの圧力がかかってしまうのだ。逆に成長率の高い新興国は常にバブル気味になる。
まずは、藤沢さんの簡単なモデルについて。当然、モデルですのでその意味するところには一定の限界がありますが、構造を捉えるという意味では標準的でわかりやすい説明だと思います。
続いて、池田さんの説明です。
ここでは金融政策の目的は、価格の硬直性を緩和して自然水準に到達させることだから、すべて相対価格の調整であり、通貨供給で一般物価が変化するというメカニズムは存在しない。ニューケインジアン・フィリップス曲線ではGDPギャップと物価水準の関係を想定しますが、物価が変化するのも個別の市場で相対価格が均衡水準に調整される結果なので、金融政策の役割は金利の調整だけです。
小幡さん(というか渡辺さん)のいうように、デフレはヴィクセル的には自然水準への調整の遅れと考えるしかないが、理論的には金融政策によって価格調整が早くなることも遅くなることもない。だからデフレを是正できるのは、金利が自然利子率より高い場合に限られ、今のようにゼロ金利になるとお手上げ。ありうるチャネルは予想だけですが、それも時間軸政策のようなわずかな効果がせいぜいでしょう。
金融政策は相対価格の調整という話はおもしろく感じました。まあ、通貨の動きを見ていればそういう面は出ているのですが、価格均一化の動きと為替の動きとがリンクして考えられるようになって参考になりました。
こうして考えていくと、構造的なものをどうにかするには構造的な手を打たなければならないし、小手先の金融政策は一時的な措置にすぎないので、構造改革を考えよ、というアゴラ執筆陣の主張もうなづけますね。少なくとも、構造改革を語っていない人が金融政策を語るというのは欺瞞だし、この国でこれから先もしばらくお世話になっていくことを考えると、そういう政権は選びたくないですね。構造改革を考えるのは楽しそうですが、やはり、既得権益を崩壊させることを伴うので厳しい面もあるといったところでしょうか。
0米国就活人気ランキングで一流企業を学ぶ
米国のMBA就活人気ランキングを見ていると、私たちの知らない一流企業を知ることができて興味深いです。
【アメリカの就活】アメリカのMBAの学生に人気のTop100企業 ソニーとトヨタも入っている
1. グーグル2. マッキンゼー3. アップル4. ゴールドマン・サックス5. ボストン・コンサルティング6. ベイン7. フェイスブック8. アマゾン・ドットコム9. JPモルガン10. ナイキ
引用したあたりは超有名企業ですから当然知っていますが、16位のIDEOとか、42位のスターウッド・ホテルズ、58位のディアジオ、66位のメドトロニック、71位のモニターグループ、85位のメイヨークリニックあたりは知りませんでした。逆に言えば、その他の企業はある程度見聞きしているわけですから、世界企業のブランド力といったものはすごいものがありますね。
これらの企業の商標には、これだけの信用が化体しているわけですから、戦略的に守っていく必要があるわけですね。
また、就職先ということで考えてみると、これらの企業は肥大化する傾向にありますのでそれ自体に価値があるわけではなく、そこで何ができるかということに大きな価値があるように思います。
0堀江さん、第二の人生へ
私のライブドアならびに堀江元社長に関する思い入れは強いので、量刑や理屈づけなど、残念な思いでいっぱいです。
■[刑事事件]ライブドア事件:堀江元社長の実刑確定へ 最高裁上告棄却
1つの時代の流れの中で、検察庁が強く出て裁判所もそれに一旦は強気で乗った、しかし、その後、一種の揺り戻しがきて実刑に処せられた人々が重すぎたとして是正され執行猶予が付される中で、その狭間に落ちてしまった人々がいたのではないか、司法の姿として、果たして公平、公正なものであったのか、ということは大きな疑問として残るのではないかと思います。
落合さんが言っているように、裁判所は、量刑についての明快な説明が可能かどうか疑わしいところがあります。
思えば、堀江さんがいなければ私の人生もだいぶ変わっていたのではないかと思います。自由主義的な価値観が幹となっている現在と、そうした価値観を上辺で持ちつつも行動は保守的という昔を比べれば、現在の自分の姿が気に入っていますし、そういう意味では堀江さんは私に大きな影響を与えた人であり、今もそれで良かったなと思っています。私の世代には同様の思いを抱いている人も多いでしょう。
これから2年ちょいは目だった動きがとれないでしょうからそういう意味では社会的損失ではありますが、刑務所から出てきた暁には、どでかいことをやってほしいと考えています。これまでも、十分に第二の人生を歩んでいる状況だったと言えるでしょうが、検察攻撃などで時間を取られている部分もありました。服役を終えれば、心を煩わすことがなくなりますので、より自由に羽ばたけるのではないかと思います。そして、その頃には私もより大きく成長できていればと思います。
0一人一人に焦点を当てるという視点の重要性:world vision japan
うちのワイフがとあるショップで買い物をした際、以下のNPOのパンフレットをもらいました。
子どもたちが健やかに成長し、教育を受け、やがては地域が自立できるよう、子どもと交流をしながら、地域に根ざした貧困を解決する開発援助をご支援いただきます。
チャイルド・スポンサーシップにお申込みいただくと、1人の子どもをご紹介し、スポンサーキットをお送りします。ペットボトル1本分、一日あたり150円、月々4,500円のご支援で、教育、保健衛生、水資源開発、経済開発、農業など継続的な支援活動を行い、地域の過酷な状況を変え、子どもの人生を変えます。ご支援いただく期間は自由です。
このNPOのうまいところは、貧困にあえぐ子どもたちという抽象的なものを対象にするのではなく、一人一人の具体的な子どもたちを対象としている点です。
月々4,500円という負担は決して小さくありません。しかし、特定の子どもとのコミュニケーションなどがあれば、十分に価値があると感じられるようになるのでしょう。しかも、その負担額は直接子どもを助けることばかりに使われるわけではありません。入り口は個人、使い道は全体なのです。
こうした枠組みは、寄付以外にもさまざまなところで利用できるように思います。
0携帯業界と広告業界の爆進予測
成長産業として知られている携帯業界とデジタル広告業界ですが、具体的な数字を目にすると度肝を抜かされます。
現在、世界の広告マーケットは5500億ドル規模で、そのうちデジタル広告の占める割合は15%に満たない。しかしこの分野は大きな潜在性を示しており、2020年には市場規模は1兆ドルに成長、デジタル広告のシェアは約50%の5000億ドル規模に拡大する見込みという。
この成長を実現する推進要因として、チョウ氏は「テクノロジー」「経済性」「社会性」の3つを挙げた。(中略)
またクラウドによってスーパーコンピューターの計算能力を利用することが可能となる。これがモバイルにも広がれば、とてつもなく大きな力になると同氏は指摘する。同氏によれば、初めてウェブを利用する人の半数は携帯電話からアクセスしており、モバイルウェブの成長速度はパソコンより8倍速い。
たしかに、既存の広告よりもデジタル広告の費用対効果はいいですから、利用者の裾野も広がるという理屈はわかりますが、たったの10年で6倍程度に膨らむポテンシャルを秘めているというのは驚きです。スマートフォンのように身近に高性能コンピューターが常に存在するようになることを間接的に示しています。
また、初めてウェブを利用する人の半数が携帯というのは、新興国では携帯中心の文化があるということを如実に示しています。このへんの技術の二段飛ばし、三段飛ばしで効率的なインフラ形成というのは、明治期の日本のように、新興国ならではの利点です。投資という観点からも、世界規模で見れば、断然携帯を狙っていく視点が有利なようです。
0市場テーマの変化の萌芽
米国の量的緩和という市場テーマもだいぶ余地が少なくなってきたように感じます。中間選挙も終了し、アメリカがこう着状態に陥ると考えられる中で、次の市場のテーマは何になるでしょうか。
広瀬さんは、ユーロ圏の弱さに着目しています。
ユーロが反落しはじめた 再びGDP成長率に注目すべき時が来た
ユーロが弓を描いて天井形成しています。崩れるのは時間の問題でしょう。
なぜそう考えるかといえば市場参加者の関心が今後QE2(追加的量的緩和政策)から実態経済、すなわちGDP成長率へと移ってゆくと思うからです。
たしかに、量的緩和への注目が薄れれば、相対的にこれまで隠れていた問題がクローズアップされることになるでしょう。それにはユーロ圏の弱さはうってつけということになります。ただ、個人的には中国など新興国関連の山積しているテーマあたりも候補であるように感じています。
続いて、より大局的な市場テーマとして、中国の次のインドに注目してみたいと思います。
ルピー高の影響を産業面で見ると、付加価値の低い繊維産業のダメージは大きい(4-8月で前年比6.4%の輸出減)が、ソフトウエアや医薬品など付加価値が高く価格弾力性が低い産業のダメージは小さい。
従ってインド政府はトータルとしてルピー高を容認している訳だ。インド政府の通貨高を容認して、国内の消費を刺激する政策について多くの専門家は中国も同じような政策を取るべきだと主張する。
だがインドと中国の違いは経常収支尻だ。中国は世界最大級の経常黒字国だが、インドはG20中、米国についで4番目に経常赤字が大きい国だ。
インドの長期的な課題は経常赤字を削減するとともに、移り気な外資への依存度を減らすことだ。
インドは民主主義の受容という観点から見てもそうですが、かなり自由主義的な色彩が強いですね。神のみえざる手の価値を十二分に理解しているわけです。ただ、これから社会の成熟が進み、さまざまな利権団体などが絡んでくるようになると、そうそう自由主義的な経済運営もできなくなり、先進国と同様の悩みを抱えていくことでしょう。ただ、それまでにはかなり時間がかかるでしょうし、中期的な成長力には多大な期待を寄せたいと思っています。
日本に求められるのはこのインドのようなリーダーシップであり、ゆでガエル現象を避け、危機を脱する覚悟なのだと思います。
最後に、相撲でおなじみのモンゴルの経済についてです。
好況期の到来を疑問視する人はほとんどいない。国際通貨基金(IMF)はこの先何年も2ケタの年間成長率が続くと予想しており、2018年までには現在わずか2000ドルの1人当たり国内総生産(GDP)が4倍に膨らむと見ている。
モンゴル南部のゴビ地域にある2つの鉱山が、新たな富の大半を生み出すと期待されている。そのうちの1つ、昨年採掘が認可されたオユトルゴイ鉱山では、推定埋蔵量4000万トンの銅や金を採掘する。もう1つはタバントルゴイという既存の炭鉱で、最近採掘設備が増強され、主要取引先である(意外や意外)中国につながる道路や鉄道も新たに建設された。
結局資源に頼らざるを得ないのはちょっと残念だとしても、資源の威力は2008年に思い知ったところです。ボラティリティが高いというのは、一国の運営という観点からは好ましくないにしても、投資家にとっては魅力的なことであり、先進国からの投資経路が確保されるとなると、今後が期待されますね。
0世界各国の経済は困難を抱え続けている
短期的には高値をつけているダウ平均株価ですが、中長期で見ると、世界経済はなかなか困難な課題を抱えています。
たとえば、アメリカでは不動産です。
昨夜のNY株式下落の本質は、、Bnak of Americaが大量の住宅ローンの買い戻しを求められたことだ。
サブプライム問題を引き起こした不正ビジネスが生み出した腐った住宅ローンの塊だ住宅ローンの売買には、そのローンが不適切な手続きであれば、売り手に差し戻しが可能になっている。欠陥商品を差し戻すのだから、当然のことだ。
要は、悪の始まりは不動産、今も不動産ということだ。
そう簡単に処理が進むわけもなく、危機がくさいものにフタのフタをとったというように例えるとすれば、現在は、フタがとれたので急いで隣の庭にゴミを投げ込んだけど、それがバレて投げ返されてきたといったところでしょうか。結局は、庭で焼却処理などしなければならないわけで、煙の害などはまわりにも及びますし、焼却炉の追加購入などで街単位で泥をかぶっていく必要も出てきます。
4Qの金融機関の決算は悪くなかったようですが、日本の例を見ればわかるように、先は長いですね。
続いては、イギリスの緊縮財政について。
ジョージ・オズボーン英財務相は1550億ポンドにものぼる英国の財政赤字を圧縮するために、20日、「英国の歴史始まって以来」の大きな財政削減案を発表しました。
これによると英国は向こう5年で830億ポンドの予算削減を見込んでいます。
削減の対象となるのは教育、警察、国防、保険など幅広い分野であり、女王様も14%の減給になります。英国は経済に占める公的部門の割合がほぼ50%と極めて高いです。また財政削減は向こう5年間で約50万人の公務員の削減を意味するので、これが経済成長の足かせとなることはほぼ間違いありません。
記事のグラフを参照すると、教育予算が削られている比率がかなり高いことがわかります。国防や医療は削りにくいので、おのずとそうなってしまうのでしょうが、これは長期的にイギリスの競争力に影響を与えてくるものと思われます。
また、欧州の問題児たちの財政削減の結果を見てみればわかるように、需要に与える打撃は大きく、英国経済のV字回復は前途多難といった印象です。
続いて、小幡さんによる日本のデフレについての記事。
ではいったい何を議論するかというと、このようにデフレ自体は、通常では問題ではないのに、なぜデフレ自体を問題とするのか、というなぞを解くことである。
デフレ自体が問題である理由は三つ。第一は、物価上昇率がマイナスだと中央銀行の金融緩和政策がゼロ金利の制約に縛られてしまうということだ。(中略)第二に、デフレ自体が問題なのは、デフレスパイラルに陥るからだ。ただし、このデフレスパイラルとは、世間で安易に言われているデフレスパイラルとは異なる。(中略)
第三のデフレの問題は、もっと地味なところにあり、家計の営みの問題だ。つまり、デフレで給料も物価と同じレベルで下がるとして、実質ベースでは変化がないとしても、それはやりくりがしにくい、ということだ。
小幡さんの指摘はわかりやすく、参考になります。問題を解決する上ではプライオリティをつけた上で問題点を絞ることが重要ですが、何が問題なのかを論理的に示してくれています。追加的な議論が、デフレのマクロ経済学的な問題点という記事でも行われているので興味のある方はぜひ読んでみてください。
最後に、米や日の緩和姿勢がどのようなことを引き起こすかの一例です。
いつ来てもおかしくない中国による大豆、とうもろこしの買い漁り
さらに長期的な趨勢としては中国をはじめとした新興国が大豆やとうもろこしなどの買い付けをどんどん増やすと見られているため市場は年々タイトになっています。
これに加えて:
1.先進国各国の中央銀行が超緩和的金融政策を取っていること2.ドル安が続いていること
3.今年の穀物相場の高騰は投資ファンドなどの投機マネーによって演出されたものではなく実需によって突き動かされていること
などを総合すると基調としては今後も強い相場が続くと多くの市場関係者は見ています。
そう、ジャブジャブマネー=新興国や商品分野でのバブルという図式が再びやってくる可能性が示唆されています。世界全体の流れとしてこのへんの構図は頭に入れておきたいですね。
0世界経済勢力図はゆっくり着実に変化している
G8からG20への軸足の変化なんかでも経済勢力図の変化はうかがえますが、なんだかんだ言って日米欧のG3の影響力は未だトップクラスのままです。とは言え、金融危機前のような姿に戻ることはないでしょうね。
まずは、米国の追加景気対策について。
内容的には道路、鉄道、空港の補修や建設が盛り込まれています。インフラ建設は実際に財政撒布が始まれば即時に雇用への効果が期待できます。
ただ今回の500億ドルは大統領が2009年初頭に立法化した7870億ドルの景気刺激策に比べれば金額的には小ぶりで、「焼け石に水」という印象も否めません。
これで一段のドル安を呼び込む格好に。強いドルからはますます遠ざかっていきます。ただ、最大のライバルのユーロも軟調で、人民元が世界で通用する通貨になるのも当分先、日本の先行きも暗いということもあり、相対的に基軸通貨の位置づけは守ることになりそうです。SDRの話なんかも一時期盛り上がりましたが、危機が去って世界的な協調姿勢が崩れつつある中では難しいでしょうね。
景気対策の規模については、政府が長期的な落ち込みにはつながらないと考えている証拠です。おそらく正しい見解だとは思いますが、やるからにはもっと規模を拡大しないと、国民の心理に働きかけることができず、効果も限定的となります。これは、日本の財政・金融政策と同じことが言えます。
続いては、新しい世界の軸となりつつある国、中国です。
だが、この「不均衡是正」には数十年を要するかもしれない。短期的に見れば、中国以外のアジアの大部分が享受してきた急成長は減速する。今後は、最悪期との比較で見かけ上の成長率がアップすることもないだろう。
中国経済がどれだけ好調でも、G3の経済回復が行き詰まれば輸出は落ち込む。黄金時代はまだ訪れていないのである。
この記事を見ると、いかに中国がメインプレイヤーになってきているかというのがわかります。一方で、それでも先進国の存在感はまだまだあるし、必要でもあるということがわかります。
それらを総合すると、中国が今後の世界の軸となっていくことには疑いはないのですが、その道筋はまだまだ長く、さまざまな問題も待ち構えているというありきたりの結論が導けます。基本的でありつつも、忘れずに留意しておきたい視点です。
最後に、モンゴルの好調な株式市場について。
今回調達される資金の一部はモンゴルに還流し、石炭の増産やインフラの拡充のために使われると思われます。それはもともと受け皿の小さいモンゴル経済に巨大なキャッシュの注入が行われることを意味するのです。(中略)
そのひとつの理由は中国国内の石炭、とりわけコーキング・コールと呼ばれる、製鉄向けの石炭は良質のものが減ってきており、採集のためにはどんどん地下深く掘らなければいけなくなってきています。それが採掘コストをどんどん押し上げているのです。

