経済・経営

経済は理屈通りには動かない

理論と現実の差というのはそれなりに理解してきたつもりでしたが、さすがに今回の話には驚きました。

ドイツ経済の急回復を歓迎できない理由

需要サイドの調整が起こらないのは、欧州の域内市場が、特に消費者レベルでは、完全には機能していないことに起因している。(中略) その幹部によれば、国によって消費者の好みが大きく異なるため、全欧州圏を対象とする通販サービスは不可能なのだという。(中略)最近になって改善はされてきているものの、国境を越えた買い物は、いまだに驚くほど困難だ。

生産サイドの調整が阻害されているのは単一市場が不完全なためだが、労働市場サイドでの調整がうまくいっていないのは、労働市場の統合が全く行われてないためである。ドイツ人労働者がより高い賃金を求めて国を出ると考えてもよさそうだが、こうした事態は起きていない。なぜなら、欧州各国の労働市場は、いまだにほぼ完全な分断状態にあるからだ。

欧州経済圏の統合はもっと進んでいるものだと思いましたが、代替可能性の高い財やサービスに関して、裁定取引がさほど行われずに価格調整が行われていないというのにはビックリしました。消費者の好みという説明が通用する部分も当然あるでしょうが、それにしてもという印象を受けます。

一方、雇用に関して言えばハードルの高さがまだ理解できますね。いくら一つのEUとは言っても、ホームカントリーがいいという選好はそう簡単に崩れないようです。

入門経済学ならば、価格は裁定取引により一物一価になるはずですし、雇用に関しても賃金が平準化されるまで労働者の柔軟な移動が起こるということになります。実際には、流通にかかる費用や労働者の心理的選好など、さまざまな摩擦がかかって完全には均衡状態にはならないのですが、それにしても均衡とかけ離れすぎであるように感じました。

続いて、FRBに関するFTの記事です。

FRBの双肩にかかる景気てこ入れ策

米国の景気回復が失速している。経済学の観点からすると、リスクのバランスは、財政および金融政策による追加刺激策を強く支持している。ところが、政治が財政刺激策を妨げる一方、意見の割れた米連邦準備理事会(FRB)は金融刺激策をためらっているようだ。米国の指導者たちは国を失望させている。

FRBが出口戦略について心配することは正しい。未踏の領域に足を踏み入れたことについて神経質になっているのも正しい。しかし、リスクのバランスは変わった。FRBはもっと踏み込んだ対策を取る必要がある。

これって、そのまま日本経済と日銀の関係に当てはまりますよね。細かく言えば、政府がややバラマキ志向で財政政策に積極的という点で異なるでしょうか。

要するに、先進国はどこも苦しんでいて、未曾有の危機であるだけに手探りの政策に終始し、それだけに、国内外から批判を受けている状況ということです。ここ最近の日銀バッシングはすごく、それなりに理のある意見もあるのですが、評価に際してはこのへんの事情を勘案する必要があるように思いました。

特に、簡単な手法で経済が好転するという主張は、先ほどの経済が理屈どおりに動かないという視点を踏まえて評価していく必要があるでしょう。

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米国の住宅ローン投げ出しと日本の年金の共通点

このニュースを見たときにパッと思いついたのが、日本の年金未納問題でした。

「投げ出し」は、子供や友人に対して極めて恥ずかしい思いをする行為である。それだけではない。競売物件が出ると、周辺地域の不動産価格も下がってしまう。つまり、自分の家が競売に出れば、近所の人に多大な迷惑と損害を与える。モラルを大切にする米国人にとって、このような行為はこれまで御法度だった。

それが開き直りの態度に変わったのは、ローンの貸し手である金融機関の商売方法に原因がある。

サブプライムローン問題や、本来、住宅ローンを組めないような人たちにも詐欺まがいの手法で貸し出したことで、一般の人には「そもそもだまされた被害者は自分たちなのだ」という感覚がある。

サブプライムローン問題について知れば知るほど、ローン・ブローカーにしても、銀行のモラル・ハザードにしても異常な状況であったことが窺われ、このような夜逃げする人々を糾弾する気にはなれません。記事にもあるように、社会的な制裁は受けることになるわけなのでなおのことです。

これは、被害を受けた人々が、被害を与えることについてどう考えるかというところでしょう。殺人はどうあってもいけないことではあるけれど、親を殺された武士が親の敵を討ちに行くというのは、安易に否定できるものではありません。

さて、ここで思うのは、日本の年金未納との関連です。現行の制度を論理的に捉えれば、破綻は目に見えており、年金を払わないという選択は場合によっては合理的と言えるものでしょう。しかし、相互扶助的な観点や、年金を払わずに将来的に生活保護で生活すると割り切るというテクニカルな問題など踏まえると、一般的にはモラル・ハザードとして見られてしまいます。

テクニカルな指摘については、年金制度が確固たるものであれば指弾することもできますが、そうではない以上、論理の拠って立つところがふにゃふにゃなので、糾弾することなんてとてもじゃないけどできません。国がそう決めているから、というだけでは、理屈として弱すぎます。なにせ、将来死が待っている場所にかわいいわが子(お金)を連れて行くことはできません(私は年配の方々への扶助だと思って払っていますが・・・)。

要は、年金制度を持続可能なものにしてくれよってことで。

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ホリエモンのインタビューでぶっちゃけトーク炸裂

最近、かなり露出が多くなってきたこともあり、目新しい話を聞くこともなくなったホリエモンですが、田原総一郎さんとのインタビューでかなりぶちまけていました。

堀江貴文インタビュー vol.1 「ホリエモンにネットでお金を儲ける方法を聞く」

田原 メールマガジンは有料の会員が何人ぐらい?
堀江 まあ今数千人です。まだ一万人いかないぐらいですけど、まあでも数千人は集まりましたね。
田原 で、月いくらですか。
堀江 月840円のメルマガで。
田原 すごいじゃない!
堀江 まあそうですね。まだ雑誌の規模にはいかないですけど。
田原 だけども、ひとりあたり1年で約1万円だよね。少なくとも年間に数千万ですね。これで十分食えるんだ。

まず、VOL.1ではメルマガビジネスのコツを伝授していますメルマガで数千万稼ぐっていうのは記録的な成功の部類であり、さすがホリエモンだと思います。Twitterやブログなどのメディア力をフルに活かした結果であり、後発の方々の参考になると思います。

続いて、一番びっくりした以下の発言。

堀江貴文インタビュー vol.2「フジテレビ買収失敗の原因は、実は社内の謀反だったんです」

田原 それで、内部の離反というのはどういうことなの。

堀江 金融部門っていうのは、それまでライブドアで一番稼いでいた部門だったんですよ。まあ粉飾決算の温床だったなんて言われていますけど、彼らが稼いでいたのは事実なんですよ。

で、1000億円がニッポン放送の買収で寝ちゃったでしょう。だからほとんどカネが残っていないんです。

しかもフジテレビに配慮して、新規のお客さんが来なくなっちゃった。投資も、投資するカネがなくなっちゃってできない状態で。それで彼らは干上がっちゃったんです。

田原 なるほど。

堀江 そこで彼らが離反してきたわけです。つまり、「テレビ局なんて買っても、俺らの給料は増えない。仕事もなくなる」と言ってきたわけですよ。「社長はフジテレビを買って、やりたいことがあるみたいだけど、俺らには理解できない。ついては辞めてくれ」と。

田原 買うのを止めてくれ、と? それとも社長を辞めてくれ?

堀江 そういうのを含めて、いろんなことを言われていたんです。

結構赤裸々に語っちゃうんですね・・・金融部門の宮内さんなどは最近Twitterでの活動も再開したらしく、フォロー関係などでその他金融部門の人々もちらほら見えます。みなさん、元気にやっているようで、さすがライブドアで活躍するだけのバイタリティのあった人々だなと感じます。

この堀江さんの判断は、あまりにスケールが大きいこともあり、単なるビジネス上の判断として金融部門の人々がついてこれなかったというのもあるでしょうし、記事の指摘するとおり、金融部門の人々の権益確保という面もあったのでしょう。私のような立場の人間から言えば、金融で儲けることなどどの会社でもできることなので、ライブドアでしかできない賭けに出てほしかったなという思いはありますね。

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中国に頼らざるをえなくなる世界経済

欧州が崩れ、米国も減速ということで、中国の存在感が相対的に高まっています。不動産バブルの懸念や元高による競争力低下などがよく言われていますが、実際のところはどうなのか、いくつかのブログ記事をもとに考えていきたいと思います。

まずは、元高が日本にもたらす影響です。

人民元切り上げの再開で顕在化する中国発インフレ

日中両国の経済構造は競合的というよりも補完的であることを考えれば、人民元の切り上げに伴う中国発インフレは、日本製品の競争力の向上よりも、生産コストの上昇につながる可能性が大きく、日本の景気への影響はむしろマイナスである。(中略)

米国金利は、日本など他の先進国よりも上昇幅が大きくなる。日米の金利差の拡大を反映して資金が円建て資産からドル建て資産に流れれば、「円が人民元につられてドルに対して上昇する」という市場の「常識」に反して、元高はむしろドル高・円安要因になると理解すべきである。

記事どおりならば、元高はインフレにつながり、輸入品物価の高騰を通して景気にマイナス影響を与えるとのことです。このへんは、2008年の原油高の際に、企業がコスト転嫁を進めることができたかを改めて調べる必要がありますね。

また、円は安くなるとの見解です。米国の金利が上昇するとの推測ですが、今のところは金融緩和長期化が勝って低金利ゾーンに滞留しています。まあ、長期的に見れば円安方向ということには首肯します。

続いては、欧州と米国がグロッキーな今、助け舟を出すのは中国だというお話です。

いよいよ中国頼みとなる世界の経済成長

もし住宅価格の下落が建設業界の不況を招くようであれば、中国経済に多大な影響を及ぼす。だが、中国政府は予備の計画を用意している。高い不動産価格に不満が募っていることを受け、政府は低所得世帯が賃貸できるアパートを含む公営住宅の建設を推し進める大規模な計画を発表したのだ。(中略)

また、中国当局は、昨年、インフラ投資のために多額の借り入れを行った地方政府の間で不良債権が積み上がっている可能性も懸念している。エコノミストの間では、過去2カ月間に見られた輸入の伸びの鈍化は、地方政府に対する融資の減退が既に投資の大幅減をもたらしている兆候だと見る向きもある。

不動産バブルと地方政府の財政がニ大テーマのようですが、低所得者向け住宅がそのバッファーを果たすとのことです。また、予想以上に下ブレしてしまったときの再緩和は、投資家へのモラルハザード容認メッセージとなってしまうので避けたいとの観測です。

輝いて見えた2000年代後半の中国の様子からは変わってきていますが、相対的に見て、今後の世界を支えうる財政赤字国になるのは中国でしょうし、頼らざるを得ないというのが実情のようです。日本なんかは、地理的に関係も深く、今のところ産業も補完的なので、中国の動向次第で大きく景気は左右されるものと思います。

最後に、中国における国策の影響度についてです。

中国の保険と銀行

政府としては、マクロ的な余剰資金が
(1)長期的、建設的な対象に投資されること、
(2)自己責任的な年金の拡充に使われること、
などを希望していると推定されます。
生命保険業界は、長期資金を扱う業界です。銀行業界は相対的に短期資金を扱う業界です。
政府は長期資金を扱う業界へ資金を振り向けたいのだと思います。

中国投資にもさまざまな思惑があることと思いますが、中国の国策と一致していれば、その安心感が大きいというのは事実です。たとえば、今なら不動産関係銘柄は当局の意向と正反対なので手がけにくいですが、保険銘柄はかなり狙いどころということになります。

チャイナ・アズ・ナンバーワン
チャイナ・アズ・ナンバーワン 関 志雄

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経済成長のゆくえ

経済成長という言葉は、近代国家にとって自明の目標であるとされてきましたが、そのためには拡大し続けることを必要とすることから、経済成長の継続や、これまでの成長のあり方への疑義が生まれつつあります。そうしたことを踏まえつつ、経済成長について考えさせられる記事を見ていきたいと思います。

まずは、経済成長の威力について。

北朝鮮の経済成長

またこのグラフは、経済成長を犠牲にすることの意味も示している。成長率は毎年積み重なっていくものなので、僅かな違いが長期的には莫大な差につながる。仮に1970の時点で北朝鮮国民がたとえ成長が遅れても共産主義でいいと考えていたとしても、四十年後にこれだけの格差を生むことを受け入れたとは思えない。

リンク先のグラフが意味するところは大きいです。たとえば、中国などは10%複利で経済成長しているわけですから、このペースが続けばかなり短いスパンでとんでもないことになるわけです。それを踏まえると、修正資本主義などといって、経済成長を目標から外すというのは簡単な選択ではありませんし、相対的困窮に陥る可能性があるので、既存の経済成長観からの軌道修正については、ことさら慎重に考える必要があります。

続いては、金融市場をとりまく認識の変化についてです。

長期金利低下・円高・株安が急進行した背景

ソロス氏の言葉を借りると、「経済は本当に大丈夫なんだ」と信じようとしていた人々が、「一つの時代の終わり」であることに気づかされて、「二番底」の到来懸念におびえ始めているというのが、現在の米国市場の状況であろう。(中略)

とはいえ、人間の心理にはいつの時代でも振れが伴う。楽観の方向だけでなく悲観の方向でも、行き過ぎ(オーバーシュート)はつきものである。3%未満の米10年債利回り水準、および日本の1%前後の10年債利回り水準については、それが持続性を伴うものなのかどうか、すなわち、債券市場が織り込んでいる景気・物価の先行きシナリオが悲観論の方向で突っ込みすぎていないかどうかについて、警戒感を抱きながら慎重に吟味していく姿勢もまた、この先は徐々に必要になってくる。

一つの時代の終わりが意味するところは、デリバティブなどでかさ上げされていた急激な経済成長の時代の終焉ということだと思われます。人間の思考は、どうしても中心回帰になりがちで、金融危機以前の状態が通常であり、そこへ向けて回復するのは自明という考えに至ってしまいがちです。しかし、実際には、我々が知っている情報も、状況も変化しているので、その変化に合わせた新たな現実を見つめる必要があります。

最後に、そうした閉塞感を打破するような記事です。

このように日本は、海底金属資源大国(海底金属資源のサウジアラビア)と言えるが、これらの海底金属資源を実用化するまでは、多くの技術開発と資金、時間を必要とする。着実な海底資源開発を目指すべきである。

これにしても、うまく技術開発が進んで、海底資源を有効利用できるようになったとしても、本質的な経済成長に関する解決がなされるわけではありません。実現可能性など考えると、こうした可能性を過度に考えず、目の前の問題に対処していくことが重要なのだと思います。

右肩上がりの時代は、世界が先進国かを進めることで終わりを告げますが、それに合わせてどう対処していくかというのが問題であり、絶対水準の競争から、相対水準の競争が意識される時代になってきたのかなという印象です。

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中国が不調な件

2000年代、毎年のGDP成長率10%超えという奇跡の経済成長を遂げた中国ですが、数字的にはまだまだ10%弱のGDP成長が見込まれているものの、株式市場をはじめとしてやや停滞ムードが漂っています。その理由は何でしょうか。

まずは、その統治についてです。

もし中国がシンガポールになれたら

彼の政策の基本はあくまで、西欧式の法の支配、平等、福祉の追求であったような気がする。
こう考えてくると、シンガポール株式会社は決してミニ「中国株式会社」ではない。国家統治の基本原理は中国式の「人治」ではなく、あくまで西欧式の普遍的な「法の下の平等」である。もちろん、その理念は部分的にしか実現していないが・・・。
逆に言えば、リー・クアンユーは中国人社会を統治するために非中国的「法治システム」を活用したからこそ、成功したのだとも言えよう。リーが英語教育を受けない典型的な「華人」であったなら、今もシンガポール政界は北京のように混乱しているかもしれない。

これは、シンガポールとの対比を描いた記事ですが、法に頼らない恣意的な介入や政策が多い中国は、経済の先行きについて不確実性を与えてしまうことにより、株式市場を必要以上に萎縮させてしまっている可能性があります。

また、福祉が整っていない中で、地域間格差などさまざまな格差が生じやすいスピード重視の経済政策をとってきたツケがでてきているとも言えます。

とは言え、長期的に見れば中国の成長が継続することは確実といってもよく、そこに至る過程で多少のハードランディングがあったとしても、共産党支配が終わるわけでもなく、再び力強く立ち上がるものと思われます。

続いて、そのハードランディングについて具体的なシナリオも描かれ始めました。

中国の不動産バブルはすぐに崩壊へ、20%値下がりも-野村 (Update1)

中国不動産市場の「バブル」は極めてすぐに崩壊し、相場は今後1年から1年半で最大20%下落すると、野村ホールディングス(HD)はみている。

「極めてすぐ」という言葉を使うあたり、その予測に自信があることを窺わせます。不動産市場はそもそも驚くほどの過熱をしてきていることは有名な話であり、20%下落に見舞われたとしても、害を受けるのは中の上くらいの階級が多いと考えられ、先ほど述べたようなハードランディングシナリオにはなりますが、長期的に見れば必要なことなのかもしれません。

中国のことは中国の人々が一番よくわかっており、現在の中国株の水準は、そうしたことを織り込んだ結果なのかもしれません。

最後に、中国も手を出しているアフガンの鉱物資源についてです。

アフガンは「リチウムのサウジ」になるのか? – 沢利之

ニューヨーク・タイムズによると、米国はアフガニスタンで1兆ドル近い鉱物資源の鉱脈を発見したと報道している。発見された鉱物資源は、鉄、銅、コバルト、金や重要な産業資源であるリチウムなどだ。電池の材料として重要性が高まっているリチウムが大量に埋蔵されている可能性について、国防相のあるメモは「アフガンはリチウムのサウジアラビアになる可能性がある」と述べている。

アフガンの重要性が、地政学以上のものとなるということで、米国の関与やゲリラとの戦いという観点でも、ますます混迷が深まっていくのだろうなという印象を持ちました。日本でも商魂たくましい商社はすでに手を出しているのでしょうか・・・

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にっちもさっちもいかない欧州経済

欧州経済に関しては、とりあえずパニック的な危機は収束気味であるものの、財政再建に乗り出せば経済成長が後回しになって世界的に影響を与え、財政再建を先送りすればソブリンリスクに火を注ぐことになるということで、難しい舵取りを迫られています。誰も答えは知りませんが、どの道に進むのが正解なのでしょうか?いくつかの記事をもとに考えてみたいと思います。

まずは、危機はまだ収束していないという記事です。

スペインの混乱で危機飛び火への懸念が噴出

「EFSFは衝突事故が起きた時に起動するエアバッグのようなものだ。エアバッグの空気の量は、衝突の規模によって変わってくる。もしポルトガルが問題なのであれば、衝撃を十分吸収できるが、イタリアは言うまでもなく、スペインが問題にぶち当たれば、エアバッグの空気は十分でないかもしれない。その時点で、ユーロ圏の安全装置にとって国際通貨基金(IMF)が欠かせない要素になる」

エボリューションの債券調査部門を率いるゲイリー・ジェンキンス氏は「もしイタリアが難局に陥ったら、投資家の信頼感が粉々になり、ユーロ圏にとってはほぼゲームオーバーとなる」とつけ加える。

スペインが抜き差しならない状況になったというニュースが駆け巡ったら、現在の弱弱しい回復は一気に背骨を叩き折られることでしょう。欧州主要国のように株式市場が盛り上がらないというのは、スペインの産業構造という側面が第一要因ですが、銀行危機は避けられないとして資本が流出しつつあるのかもしれません。

イタリアの状況はスペインほどにも報道されていないあたり、まだまだ余裕はあるのでしょうが、危機は突然やってくる側面があるので、油断はできません。

続いて、どういう舵取りをすべきかという記事です。

ユーロ圏の予算削減:減量手術

このような「景気刺激型の財政引き締め」の例は、今は再現するのがはるかに難しい。過去に財政赤字を削減しながら力強い成長を実現した国は、為替レートの下落という追い風を受けるか、あるいは借り入れコストの大幅な低下という恩恵を受けることが多かった。

ほとんどの先進国は今、既に低い債券利回りを享受している。また、すべての国が自国通貨を切り下げられるわけではない。

それでも、ある種の緊縮財政が成長にとって比較的害が少ないことは明らかだ。ユーロ圏諸国が発表した削減計画はかなりうまく設計されている。ほとんどの国は、政府部門の給与を減らし、各種給付金を削ることを計画している。これらは、景気回復にとって最も打撃が少ない種類の削減だ。

そもそも、浪費国が行う緊縮財政にどれだけの実効性があるのか疑問であり、浪費国の緊縮財政だけについて言えば、引き締めすぎを心配することはないのだと思います。問題は、健全なドイツなどの黒字国までも引き締めに動いていることであり、ユーロの信認という意味では必要なことではありますが、景気との天秤にかけて考えた場合、ドイツはむしろ消費拡大による内需振興を求められているのではないかと感じます。

最後に、交錯するリスク観についてです。

リスクに関する答えは、ユーロ圏のソブリン危機が、ギリシャなど比較的小さいな経済圏にとどまるか、あるいはスペインやイタリアといった比較的大きな経済圏にまで拡大するかに大きくかかっている。ただでさえ物事を悪い方に考えがちな国債投資家が悲観的になり、ただでさえ楽観的な株式投資家が景気回復を信じたがっている。こうした心理的格差がある限り、両者の乖離はしばらく続く可能性がある。

米国市場なんかを見ていると、ITバブルを起した国の楽観は伊達じゃないなと感じます。雇用統計ショックのぶんはしっかり取り戻しました。また、欧州に関しても、輸出国はすこぶる堅調な株式市場で、日本が円高のあおりを受けて停滞しているのとは対照的です。

Twitterで藤原さんがおっしゃっていましたが、国でも個別銘柄でも選別の時代に入ったなという印象です。これまでのように、業種間裁定などに頼るのではなく、ある業種の中でどの企業を狙っていくかという観点が重要視されそうです。

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ロボット産業についてのメモ

ファナックや村田製作所などのロボット技術の強さは長きにわたって聞いてきましたが、日本の強さの象徴とも言えるロボット産業の需要成長が見込まれるという記事を目にして、頭の片隅に入れておきたいなと感じました。

ロボット産業の将来性 – 速水禎

このように今後先進国、新興国、途上国で高齢化が世界的に進行していく中、工場での生産活動や生活インフラの保守点検などを支える人手の不足や、農業主体の経済からから工業やサービス業へと、産業の高付加価値化という社会的な課題を解決するために、自動化、省力化、そしてロボット化へのニーズが、これからますます顕在化してくる可能性が高いことが、国連の人口データの分析から読み取ることが可能ではないでしょうか。

摺り合せが得意だからといった論拠はあまり納得できない面もあったものの、大筋では新たな視点を得ることができたと感じています。

ただ、この手の話を聞く場合には、注意しなくてはならない面もあります。以下、代表的な三点を述べます。

一つには、将来性が見込まれていても、その「将来」がどの時点で来るかは予測し難いという点が挙げられます。たとえば、ドルの凋落というものは1980年代から延々と言われていますが、未だに相対的な実力を保っています。

二つ目は、実際に成長分野になっても、それが株高には結びつかない場合もあるということです。たとえば、太陽電池関連などは一時期もてはやされましたが、一気に過当競争になり、むしろ供給超過の状況にさえなりつつあります。そうした中では、どうしても利益は切り詰めていくこととなり、株価にも反映され難くなります。

最後は、二点目とも関連しますが、韓国や中国の技術キャッチアップのスピードです。半導体やDRAMなど、かつての日本が得意だった分野は、ことごとく韓国や中国の企業にアドバンテージを取られました。このタイミングを見極めるのも重要です。

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消費市場としてのアフリカ

連想ゲームで、アフリカと言えば・・・・資源といったイメージが先頭に来ますが、中国はより戦略的な視点からアフリカに狙いを定めているようです。

アフリカに活路を求める中国

ここで興味深いのは中国はアフリカ大陸を単なる原油やボーキサイトなどの資源の供給者だという風に考えていない点です。アフリカは自分たちの商品を買ってくれる「市場」だと考えているのです。
だからアフリカ大陸と中国との間での貿易収支をみると輸入、輸出のバランスが取れています。(これと対照的にアメリカの場合、一方的な資源の買い付けだけで、輸出は僅かです。)

たしかに、これまでのアフリカに関する言説としては、中国の投資に関しても資源狙いというものが多かった気がします。実際に先進国はそのとおりなのですが、市場という視点もバカにならないという意見です。

私としては、アフリカは1990年ごろからすでに経済的に成長してくるという視点で見られていたにも関わらず、依然として政治の混乱などで停滞し続けている印象があります。その点、具体的には以下の記事が参考になります。

W杯開幕目前、台頭するアフリカ

一方、貿易の方向は変わっているかもしれないが、原材料の輸出と完成品の輸入という貿易の特徴は変わっていない。だが、長期的には、アフリカのコモディティーや土地、人的資源に対する需要が減退することはないだろう。今回の将来展望に対する楽観論は、ビジョンを持った独裁者とは関係なく、マクロ経済環境によるところが大きいのだ。

貿易構造は変わっていないということですが、先ほど触れた中国の事例のように消費に期待している面や、人件費の安い場所としての価値など、既存の新興国が先進国入りする過程で下支えする役割を果たすことになりそうです。

ここで気になるのは二点です。一点目は、マクロ経済環境が重要とは言え、やはり政治的リスクが大きい場所に進出するのははばかられる面があり、これまでの20年のように、投資したはいいが政治に振り回されてオジャンということになるのではないかということです。この点に関しては、とくに明示的解決が図られているわけではないので、楽観視はできません。

もう一点は、アフリカが現在の新興国の役割を果たすようになった後、世界の経済構造は既存のルートを通ることはできなくなるということです。つまり、下支えするのに十分な規模を持った新興国がなくなってしまうということです。そのまま世界平準化へと突き進むのか、その前に争乱や混乱があって違うアプローチで既存のルートが崩壊するのか、それはわかりませんが、フラット化の認識は持っておきたいところです。

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先進国はいかなる道をたどっていくのか

世界金融危機を境として、日本の一人負け状態から、先進国の低迷へと国際世論がシフトしたように感じます。そこで、JBpressの記事を手がかりとしつつ、これから先進国がいかなる道をたどっていくのかについて考えてみたいと思います。

まずは、上野さんによる現状認識です。

「20年バブル崩壊」と重要ポイント6つ

財政面の「出口」、すなわち景気刺激策の解除と財政緊縮(増税や歳出削減による財政バランスの改善)は、実体経済を下押しする。それを緩和しようとする場合、ポリシーミックスとしては、金融政策には緩和の継続が要請されてくる。国債格下げ回避のため、5月の総選挙後に誕生する英国の次の政権が財政緊縮方針を打ち出す場合、イングランド銀行は早い段階では利上げに動けないということになる。通貨統合参加国が財政赤字の名目GDP比を3%以内に抑制しなければならないユーロ圏でも、財政緊縮をきちんと実行するならば、ECBの利上げはなかなか行いにくいということになる。米国についても、オバマ政権が任期中の赤字半減を実際に目指す場合には、利上げのチャンスはある程度狭まる。日本の場合も、消費税率引き上げに象徴される財政立て直しの動きが将来本格化する際には、日銀の利上げ方向の動きは制約されることになる。もっとも、日本の場合は財政政策を引き合いに出さずとも、人口動態に根差した「固有の危機」である慢性的なデフレが、日銀の利上げ願望に対して、強力な抑止力になってくる。

新興国が早速利上げに乗り出している中、先進国はとてもじゃないけど利上げは先送りせざるをえないような状況です。世界金融危機の際に大量の服薬をしたのはどの国も同じなのですが、先進国には、そこから急激な回復を見せる体力がありません。

そんな中で、商品市場をはじめとして部分的にはバブルの種がうまれつつあり、国際的な金融システムの中ではどの国のお金という色はついていないことを考えれば、円キャリーのような状況の二の舞が生まれかねないと言えるでしょう。

こうした状況を制御する上で、中央銀行の果たす役割は重要です。

白川総裁は「適度な裁量性」を強調

「中央銀行に期待される役割は、物価の安定と1対1には対応しないことも分かってきました。バブルの経験が示すように、物価が安定していても、経済は大きく振幅することがあります。中央銀行に求められていることは、安定的な金融環境(a stable financial environment)を実現することであり、それを通じて持続的な成長を達成することです。物価の安定は、金融環境の安定を構成する重要な要素ですが、これだけに限定されるものではありません。それどころか、短期的な物価の安定に釘付けになると、究極の目的である経済の持続的成長を困難にする可能性すらあります」

これに関しては、今回の世界金融危機の教訓として、正論を言っているように思います。実際に、中国などはかなり裁量的な金融調整に乗り出しており、住宅バブル崩壊に伴う打撃の二の舞は避けようと必死です。米国に関しても、物価だけを見ず、雇用の状況を踏まえた上で利上げに出ることを明示しています。

日本の場合も、金融政策うんぬんの前にやることがあるわけであり、金融政策万能説で対応していくと、それらの構造改革が遅れてしまう懸念がありますし、むしろ、副作用で潰れてしまう恐れさえあると思うんです。

さて、閉塞感に苦しんでいるのは日本だけではありません。先進国の座をずっと維持してきたイギリスはどうでしょうか。

英国の財政、成長こそが問題解決のカギ

すべて総合して見ると、英国の公的部門の主たる債権者は外国人ではなく、英国の民間部門だ。同様に、資金循環ベースで見ても、財政赤字を穴埋めしている主な主体は国内民間部門の資金余剰だ。

このことは、財政を正常な状態に戻す最も効果的な方法が需要とGDPの拡大であることを示唆している。そのためには、投資と純輸出の増加、さらにはより活力に満ちた供給が必要になる。財政赤字の解消は目指すが、その過程で需要を崩壊させるような対策なら、助けにはならない。緊縮財政だけでは完全に力不足なのだ。

こうして見ると、日本に求められることとウリ二つであるように感じます。つまり、日本が今悩んでいる病気は、先進国共通の構造的なものであるということなのでしょう。新興国という新たなプレイヤーが登場しつつある中で、先進国はどういったポジションをとっていけばいいのか、真剣に議論していく必要がありますね。

日本の場合は、さまざまな規制や閉塞的構造が成長を抑制している面がありますので、それを取り払うことでその他先進国にキャッチアップすることも可能だと考えられますので、まずは、民間の発意をうながす構造改革が必要だと考えています。

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弁理士(Patent Attorney)志望、個人投資家(Invester)。TDLと同い年。平成24年合格を目指して3月から勉強開始。F1とドラえもんをこよなく愛す。I wanna be friends and build strong ties with you:)特に知財関係の方は宜しくお願いします。