【書評】心理学
【書評】日本経済新聞社『けいざい心理学!』
私は、心理学と経済を主に勉強している身ですので、『けいざい心理学!』なんていう書名だと思わず手にとってしまうわけです。
| けいざい心理学!―「気分」と「直感」で経済は動く |
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日本経済新聞社
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①深い内容ではない
中身を見てみると、一般的にも知られているような基本的な内容がコンパクトにまとまっている感じとなっています。たとえば、言い訳消費とか、ハレ舞台へのあこがれ、心の特別会計など、消費者行動に着目した議論の中では必ず出てくるような基礎的内容の数々。
そういう意味で、これまでに類書に触れた事がある人はまず読む必要もないと思います。
②どんな時に読むか?
商売に行き詰って、どうしたら消費者の購買意欲を喚起することができるかと考えるときに、観点として参考にする分にはいいと思います。それにしたって、買いたい気分を高めるために五感で勝負、数の魔術でうまく人気感を出す、履歴が安心感を呼ぶ。逆説消費、一度買うとやめられないコレクター魂、群衆雪崩など目次のキーワードで十分だと思いますね。
0リスクで操作されている国民
リスクや恐怖心というものは、人間の根源的な本能であるために、制御することは難しいものです。その点に関する興味深い本を山口さんが紹介してくれています。
こうした人間の性質を「利用」する人々がいる。人々の「恐怖」をてこにして「安心」を売る企業、関心を集めようとするメディア、自らの勢力拡大につなげようとする政治家や官僚、活動家やその団体。予算獲得を狙う一部の学者もそうだ。こうした、「恐怖の産官学複合体」とでも呼ぶべき人々は、情報を選択的に伝え、あるいはより積極的に隠蔽し、あまつさえ捏造までしながら、社会を導いていく。
この分析は多くの不自然な政策、違和感のある政治意思決定の裏に潜んでいるものについての指摘とも言えるでしょう。また、官僚は国民のうつし鏡で取り上げた山口さんの言説とも符合するところです。
私はまだ読んでいませんが、ぜひ読んでみたい本ですね。この間読んだ『すすんでダマされる人たち ネットに潜むカウンターナレッジの危険な罠』とも関連している問題であるように思います。
| すすんでダマされる人たち ネットに潜むカウンターナレッジの危険な罠 |
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ダミアン・トンプソン 矢沢 聖子
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上の本については、後日レビューしたいと思います。
0【書評】美達大和『人を殺すとはどういうことか』
さまざまな解釈はあるものの、人が生命を終えるというのは、多くの人にとって畏怖・忌避の対象であり、それを相手の意に反して行う殺人という罪は、多くの犯罪の中でも最高峰のものとして取り上げられることが多いです。
その殺人が、こんなにも簡単な思考を経て行われてしまっているのかと愕然としてしまう一方で、死とか生とかについて幅広く考えさせられる良書が、美達大和『人を殺すとはどういうことか』です。
| 人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白 |
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美達 大和
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①あまりに簡単に行われてしまう殺人
著者が述べているように、私は、刑務所の中には殺人をしても悪びれない犯罪者がいる一方で、大多数は反省の日々を送っているのかと思っていました。しかし、その認識はこの本で大きく裏切られることとなりました。
もちろん、犯罪傾向が強かったり、ひどい殺人を犯したりした者が入る長期LB刑務所という場だからこそかもしれませんが、著者が語る周りの囚人像は想像を絶しています。
道徳感が欠如していること、殺人の重さを感じていないこと、自己優先的な発想など、被害者が見たら目を覆いたくなるような内容です。
一方、ヤクザはその道だから仕方無いという筋の通った人間ばかり取り上げられていますが、著者も断っているように、救いようのないヤクザとは反りが合わず話が聞けなかっただけで、ヤクザを美化できるものではありません。
②著者の償いに関する考察
著者の自分の犯罪に対する考察も、非常に興味深いものです。IQが高い著者が、当たり前の認識を得られなかったというのは、それはそれでビックリなのですが、そこから向上心を絶やさずに、償いの道を究めようとする姿は、殺人者でありながらも魅力をふりまいてやみません。
ただ、それだけの知能を持った著者が、父親の呪縛を乗り越えられなかったというのも、成長期の教育の影響の大きさをうかがい知ることのできるエピソードと言えるでしょう。
③この本の良さは、命の重さを再確認できること
よく言われることですが、生命の重さは、それが当たり前のうちは忘れ去られてしまいます。しかし、こうした本に接すると、それを軽んじる者への怒りや、生命の価値を必死で考えることの大切さに改めて気付かされるのです。そういう意味では、この本を犯罪心理だとか刑務所の実態だとかという枠に収めて評価するのは早計でしょう。
文もスラスラ読めるものであり、私も一気に読み終わってしまいました。ココロに余裕のある方は、読んでみることをおすすめします。
0【書評】土井隆義『友だち地獄 空気を読む世代のサバイバル』
私も、アルバイトとして塾の講師をしていたことがあったので、現代の子供たちの雰囲気の一部を垣間見ています。みんながみんなというわけではないのですが、すごく気を遣い合っている関係性というのが、印象的でした。そうした現象に、解を与えてくれるのが、土井隆義『友だち地獄 空気を読む世代のサバイバル』です。
| 友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル (ちくま新書) |
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土井 隆義
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この本のタイトルは、刺激的なものであり、大袈裟だという感覚を受けるでしょう。しかし、本の中に書いてある内容は、現実の断片なのです。
著者は、若者たちの関係を「優しい関係」という言葉を使って表現します。互いに傷つけあわないよう、細心の注意を払って関わり合う状況です。そして、それは若者のリアリティの感覚を希薄にし、あるべき姿との乖離を生み出します。
そして、ケータイの存在がそれを助長したことを指摘します。つまり、時代の変遷から生まれた必然が、現在の状況なのです。こうして見ていくと、現代の若者の問題を考える上で、「今の子供は情けない。俺の子どもの頃は・・・」なんていう説教を垂れるのがいかに無意味かわかると思います。新しい問題には、新しい処方箋が必要とされているのです。
この点、著者も、明確な処方箋を提供できているわけではありません。ミスチルの「名もなき詩」になぞらえて、「自分らしさの檻に閉じ込められているなら、生きづらさと正面から向き合うことが必要」と主張するにすぎません。
たしかに、そういう側面はあると思います。現状を前向きに受け入れる方向性です。しかし、より知恵のある者たちとしての大人が、違った形の処方箋を提供して、子どもたちに選択肢を与えるくらいのことをしていくことが必要なのだと思います。私としても、新たな課題として捉えていきたいと考えています。
0【書評】林恭弘『「なまけ心」に効くクスリ プロカウンセラーが教える「ダメな自分」の救い方』
お正月が過ぎて、初仕事というのはエンジンがかかりにくいものです。
これも、パターン把握が鈍っているからかもしれません。しかし、一種のなまけ心と言える部分もなきにしもあらずでしょう。
林恭弘『「なまけ心」に効くクスリ プロカウンセラーが教える「ダメな自分」の救い方』は、そんな怠け心を持った相談を戒める内容になっています
| 「なまけ心」に効くクスリ プロカウンセラーが教える「ダメな自分」の救い方 (ソフトバンク新書 48) |
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林 恭弘
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たとえば、林さんのアドバイスの一部を要約すると次の通りです。
・自分でコントロールできることとできないことを分ける。そして、できることにエネルギーを。
・与えられることに慣れるのではなく、自分で与えていく、切り開く気持ちが必要。
・心の習慣は意識し続けなければ治らない
こうした指摘の数々は、正直言って刺激の強いものです。読む人の状況によっては、不適切と思えるものもあります。
しかし、読む人が、怠けを悩みとして持っており、直していきたいと考えるなら、耳が痛くても耳を傾けないといけない内容です。数々の事例が網羅されており、一冊読んで自分と類似の例が見つからないというのは稀有な例だろうと思えるほど、なまけは身近な悩みです。そんな時に、自分を奮い立たせる意味で読むといいでしょう。
ただ、責任感が強いのにうつ症状などで怠けになってしまっている人が読んで、より責任感を強めてしまうのは危険なように思います。そうした方は、客観的アドバイスとしてほどほどに
【書評】石原加受子『邪悪な人を痛快に打ちのめす!』
『もっと自分中心でうまくいく』を読んだついでに、もう一つ、石原さんの刺激的なタイトルの本を読んでみました。その名も、石原加受子『邪悪な人を痛快に打ちのめす!』です。
| 邪悪な人を痛快に打ちのめす!―振りまわされない、疲れない、「自分中心」の心理学 |
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石原 加受子
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内容としてはエッセイに近く、あらゆる事例を持ち出して、石原さんなりの考えを語るというものです。その中には、石原さん自信が巻き込まれたトラブルも描かれており、当事者の石原さんが書いていることを差し引いても、ずいぶん理屈の通じない人がいるものだなとびっくりしました。
そんな様々な事例に、石原さんが提示している対処法は参考にする余地がありそうです。たとえば、「どうして私が・・」という責任転嫁には、「あなたは、どうしたいんですか?」が効果的としています。すぐに責任転嫁したがる人は、主体性がないのだと厳しく糾弾しているわけです。
断定的な表現や、大いなる力の存在を思わせる記述など、内容的にちょっと合わないという人もいるかもしれませんが、人生訓として読む分には問題ないと思います。女性にはなじみやすいかもしれません。
0【書評】磯部潮『身近な人が「心の病」か迷った時に読む本』
磯部さんの本も、これまでうつ病や人格障害などについてのものを取り上げてきましたが、今回取り上げる、磯部潮『身近な人が「心の病」か迷った時に読む本』は、私たちにとって身近な心の病について、広く浅く網羅している本です。
| 身近な人が「心の病」か迷ったときに読む本 (ホーム・メディカ・ブックス) |
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磯部 潮 |
具体的には、不登校、統合失調症、社会不安障害、摂食障害、パニック障害、境界性人格障害など、精神疾患としてはメジャーなものに関して、その概要や治療法などをわかりやすく解説しています。
つまりは、この本でだいたいの概要をつかんで、心当たりがあるようならその疾患についてのより詳しい本を読むとか、病院の診察を受けるなどをしていけばいいわけです。
どの疾患の説明に際しても、臨床医の磯部さんらしく、わかりやすい口調で書かれています。その点が、この本のウリだと思います。また、女性、中高年、老年の疾患につきましても、少々書かれていますので、そういう意味でも幅広いと言えます。
0【書評】根本橘夫『傷つくのがこわい』
根本さんの著書は、自己価値観の心理学での明快な説明以来、愛読しています。
人と接するのがつらいは、それを対人関係の視点から掘り下げたものでしたが、今回取り上げる、根本橘夫『傷つくのがこわい』は、傷つきやすさという対人関係を中心に幅広く取り扱った概念で掘り下げています。
| 傷つくのがこわい (文春新書) |
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根本 橘夫
おすすめ平均 |
そこで挙げられている傷つきやすい場面とは、以下の通りです。
- 信じていた人に裏切られた時
- 努力や誠意が踏みにじられた時
- 触れられたくないことに、触れられたとき
- 失敗や能力のなさが明らかにされたとき
- 責められた時、非難された時
- 人のなかでの恥ずかしい出来事
- 軽く扱われた時
- 自己欺瞞を自覚した時
こうして羅列してみると、対人関係の問題であると同時に、自分の意識の問題でもあることがわかります。つまり、自分の中のイメージと、現実の自分との間のギャップです。こうしたことは、思春期には誰しも経験する葛藤ですが、傷つきやすい人はその期間が長く、規模が大きいのです。
この本では、傷つきやすい人のタイプや、傷つきやすさの要因、それを避けるための解決法など、多岐にわたって解説されています。その中でも、傷つきやすさの要因として、養育環境だけではなく社会問題についても触れているのが興味深いです。
やはり、軸にあるのは自己価値観であり、それを育てるような養育環境と社会が求められているのでしょうが、それを直接的に追求した試みはすべからく失敗に帰しているように思います。そういう意味でも、全体レベルで形式的に追求するのではなく、個別の追求の積み重ねがベストなのだと思います。
0【書評】石原加受子『もっと自分中心でうまくいく 「意識の法則」が人生の流れを変える』
人間関係についてのさまざまな本がありますが、やはり、自己価値観の欠如によって、他者の価値観に依拠することに問題があるとする本が多いようです。石原加受子『もっと自分中心でうまくいく 「意識の法則」が人生の流れを変える』も、そのうちの一つだと思います。
| もっと自分中心でうまくいく―「意識の法則」が人生の流れを変える |
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石原 加受子
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タイトルにもある「意識の法則」については、ラッキーをつかみ取る技術と似たようなもので、潜在的な意識の持ち方が行動や環境を変えていくといったものです。信念通りの結果が生まれるという与えられる感覚で語ると違和感がありますが、信念を持って動くことで結果を動かすことができると考えれば、通常の本の範囲内のことを焼き直して言っているにすぎず、おかしな話ではありません。
そんな著者が強調しているのが、自分を愛する為に、自分を優先し、自分を解放するということです。これができている人はさほど多くありません。
しかし、実際には、自分の気持ちを優先して動いた方が、心が健康である分、周りに対しても上手に接することができるはずです。まずは、自分の心に余裕を持つことが最優先なんです。
0【書評】マーシャル・ゴールドスミス『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』
部下を持った上司にはうってつけのコーチング書であり、なおかつ、人間関係をより充実させていく上でも必要不可欠な本として挙げられる良書が、マーシャル・ゴールドスミス『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』です。
| コーチングの神様が教える「できる人」の法則 |
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マーシャル ゴールドスミス マーク ライター Marshall Goldsmith
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ここに挙げられているTipsは、人望を集める最短経路であり、人格者への道でもあります。普段から、自己アピールが足りないと言われている人はここに書かれていることを全て実践することはありませんが、自分で自分に能力があると思っており、競争主義的なイケイケのビジネスマンの方は是非読んでおくとエグゼクティブへの道が開けていくと思います。
内容としては、成功者が陥りやすい過ちへの、論理的な戒めです。たとえば、負けず嫌いなどはすべての「いらぬこだわり」の根源だと捉えられています。負けず嫌いだからこそ、人の手柄まで横取りしたり、他人の意見を貶めようとしてしまうわけです。
また、感謝や謝罪などの基本的習慣をおろそかにしないことについても力説されています。感謝のパワーは偉大です。それによる不利益がない上に、プラスのフィードバックは期待できるのですから、積極的に実践すべきなのです。
管理職の方は必見の書ではないでしょうか。
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「マーケティングには欠かせない!!」
出版意図が不明
なぜ新書で出さないの?
批判力を養うために


ゆるゆる





