【書評】投資・経済関係
投資の落とし穴の位置を理解すること
投資をやっているとさまざまな心理状態を経験します。実際、行動経済学の本を紐解いてみると、いわゆる「あるある」話が豊富に記載されており、人類の感情・思考パターンの普遍性を ひしひしと感じます。そんな普遍性を感じさせ、投資家に猛省を促し、投資の落とし穴の位置を理解させる本を春山さんが紹介しています。
推薦図書 : The Art of Contrary Thinking
Tape Reading & Market Tacticsは、「チャート」と「相場に接する態度」ということを書いていますが、
The Art of Contrary Thinkingは、投資家が陥りやすい性向をいかにして是正するかが豊富に記述されています。今で言えば、行動ファイナンス投資理論です。
行動ファイナンスなんて100年も前からあった考え方で、「何をいまさら新発見のように祀り上げるのだろう?」と、私は斜に構えて眺めています。
| Art of Contrary Thinking |
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Humphrey Bancroft Neill
Caxton Printers Ltd 1997-09-01 |
英語の訓練という観点からも、一度読んでみたいと思っています。(参考:春山さんおすすめの本を買うの巻)
やはり、英語を訓練するにしても、自分の興味のある分野についてのものが最も好ましいと思われます。そういう観点から言えば、私の場合は、文化論か投資論といった分野になってくるわけです。
0春山さんのお勧め本を買うの巻
日々尊敬している春山さんがその価値を認めている本と言うことで、忙しい間は積読となりそうですが、とりあえず買うことにしました。興味のある内容であれば英語の勉強にもなると思うので。
推薦図書: Tape Reading & Market Tactics
今日でも、私がこの業界に存在できているのは、彼とこの本のジンワリと浸透する第一級の漢方薬的な暖かい価値の恩恵だと確信している。(中略)
英語の本を読む時、
声に出して朗読すれば、理解が深まります。
手足を動かしながら、作業をすると、記憶力が高まるからです。
英語の本の読み方なんかも、地味に参考になったりします。
| Tape Reading and Market Tactics: The Three Steps to Successful Stock Trading |
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Humphrey B. Neill
Martino Fine Books 2010-05 |
以下のリンクからもわかるように、春山さんが超絶おすすめしている本は数冊しかないので、貴重です。
また、推薦図書の中で、気になる本があったのでこちらも読んでみたいと思います。
私が出会った株式投資のHow To本の中では、最も価値が高いと判断した本だ。
ジム・クレーマーは、ヘッジファンドで大成功した実力者である。
理論だけで、実践経験の無い評論家では無い。
読んでいて、そうそう、その通り、良くぞ書いてくれた、言ってくれたと同感の連続であった。
私も本をいつかは書こうと思っていた。このブログを始めたのは、その準備・練習の意味もあった。
しかし、この本があるなら、私は書く必要が無い、、そう思った。
| 全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦 |
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ジム クレイマー James J. Cramer
日本経済新聞社 2006-07 |
英語版を買うのは当然として、オーディオブックも買うか否か迷います。忙しい現状を踏まえれば、時は金なりでオーディオブックで時間節約というのもアリかなと思います。
| Jim Cramer’s Real Money: Sane Investing in an Insane World |
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James J. Cramer
Simon & Schuster Audio 2006-10-17 |
投資関係本の書評をはじめます
私は投資をしていますが、その一つの動機が、創造性への支援という視点です。
という記事を見て、就職活動を考えていた時期を思い出しました。
私は、そもそもベンチャーキャピタルに就職したいという想いがあり、いくつかの会社をあたりました。しかし、この業界は経験者のみ採用という会社が多く、ほとんどの会社で門前払いでした。
某金融会社でインターンをして、今の道を歩むことになったのですが、上記記事を見たら、なんだかベンチャーキャピタルを目指していた頃が懐かしくなりました。夢と希望にあふれていた時代です。(まぁ、今もそうですが・・・)
ということで、これまではインプットに一生懸命で紹介しきれていませんでしたが、今後は、投資関係の本なんかも紹介していきたいと思います。投資に関する本の中には、人生にも役立つ名著が勢ぞろいですよ!
0【書評】池尾和人・池田信夫『なぜ世界は不況に陥ったのか 集中講義・金融危機と経済学』
いつもブログを興味深く拝見している、池田さんと慶応大学の池尾さんの、世界同時不況に関する共著が、池尾和人・池田信夫『なぜ世界は不況に陥ったのか 集中講義・金融危機と経済学』です。
| なぜ世界は不況に陥ったのか 集中講義・金融危機と経済学 |
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おすすめ平均 ![]() 対談本だが解説的にまとめられている ブログを読んだ方が エピローグから読め。 頭の整理にはなるが明らかな誤りも見受けられる カタカナに負けない
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①アメリカ経済のおおまかな流れがわかる
1970年末から現在までを三つの期間に区切って、アメリカ経済と経済政策について解説しています。端的にまとまっていてわかりやすいものとなっていると言えます。
デフレ時代を生きた身としては、インフレの恐怖というものが植えつけられておらず、各国がインフレ対策に躍起になるのも実感がわきませんでしたが、それが理解できたように思います。
そして、銀行の構造転換、過剰消費と金融緩和によるマクロ的な不均衡など、今回の世界同時不況へのフラグがわかりやすく解説されています。
②世界同時不況の原因が指摘されている
サブプライムローン問題の発生以来、さまざまな要因が指摘されて、私も含めた一般の人々にとって世界同時不況の総体、原因といったところはわかりづらいところがありました。それを、整理して説明しています。
投資銀行の暴走、金融危機の発現メカニズム、過剰投機と、格付け会社の責任。コーディネーションの失敗など、経済学的見地から理路整然と語られています。
③不況への対応と、日本の将来像
世界同時不況の原因となったシステミックリスクの原因は、金融工学にあるのではなくユーザーにあるという認識に立ち、規制監督体制として、情報の非対称性と、エージェンシー問題などの対策を行うべきだと結論付けています。
また、日本の問題は、アメリカ発の金融危機ではなく、長期的な生産性の低下の表れだとし、その潜在的成長率水準に下がっただけであり、産業の二重構造への対応が問われるとしています。
こうした見地に立つと、財政政策による短期的処方箋があまり意味のないものだと感じるのも当然でしょう。
このように、現状を考える上で悪くない本なのですが、ただ、この本を読んだ後、モハメド・エラリアンの『市場の変相』を読んだところ、わかりやすさも的確さも意義深さも『市場の変相』の方が上でした。そういう意味で、星四つといったところでしょうか。
0橘玲『亜玖夢博士の経済入門』
以前、池田さんの中間小説の必要性という考え方を紹介しました。まぁ、学問と一般大衆の知識との間を媒介するようなソフトな伝達者の必要性と言い換えることができるでしょう。
その中間小説という名がピッタリの本が、橘玲『亜玖夢博士の経済入門』です。
| 亜玖夢博士の経済入門 (文春文庫) |
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橘 玲
おすすめ平均 |
①ちょっとヘンテコな世界観
舞台は歌舞伎町で、小説チックに独特の世界観が展開されます。このへんは、表紙から伝わってくるヘンテコさと同様でしょうか。
このようなソフトな感じの演出はたしかに必要なのでしょうが、ちょっとひねりすぎているかなという印象もあります。
②中身は経済学の初歩、しかも実用的
肝心の中身は、行動経済学、囚人のジレンマ、ネットワーク経済学、社会心理学、ゲーデルの不完全性定理など経済学の基礎で、なおかつ、実際の生活上で活かしやすいものがチョイスされています。その説明も小説としてのエピソードとからめられていて非常にわかりやすく、まさに中間小説の王道といった感じですね。
③原典も表示で、知的好奇心の行き先を案内している
たとえば、社会心理学では、チャルディーニが紹介されています。チャルディーニを読んだ後にこの本を読んだので、物足りない感じがしましたが、通常はこの本の後にチャルディーニを読むでしょうし、そうしたレベルアップの手がかりも残してあるのはいいですね。
よくよく調べてみると、橘玲さんの本はちょっとした専門知識をわかりやすく提供することで定評があるようですね。新刊の貧乏はお金持ちも売れているようだし、これからにも期待です。
0【書評】鈴木亘『だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方』
藤沢Kazuさんのブログで紹介されていて、年金などに興味があったので読んでみたところ、かなりの衝撃を受けたのが、鈴木亘『だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方』です。
| だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方 |
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鈴木 亘
おすすめ平均 |
①すごく簡単に書かれていてわかりやすい
著者自身がわかりやすさを意識して書いたと宣言しているとおり、年金や健康保険など複雑な仕組みのシステムを取り扱っているわりには、最大限わかりやすく書かれているのが伝わってきます。図なども多用され、事例も基礎的で、わかりやすい言い換えも多数。
そして、年金をめぐる議論などでの、改革反対派の意見をひとつひとつ取り上げて、看破していくのも丁寧でわかりやすいです。読書が苦手な人でも、少しずつ読めば理解できると思います。
②内容が衝撃的
私自身、年金の仕組みや、少子高齢化によってやばいこと、既得権益層が改革への重しになっていることなどは認識していましたが、ここまでひどいとは思いませんでした。これでは、私の世代はまだ限定的な損だからいいけれど、将来世代は目も当てられないほど暗い未来を背負っていくことになります。
こうした「やばさ」が野放図になっているのは、もちろん、利益を享受する層の厚みといった政治の構造上の問題もありますが、それ以前に、この危機感が政府の小手先の情報操作で隠されているというのがあると思います。数字をいじって楽観的な数字にするのは楽なことですし、この本の著者のようなまともな議論をしようと思っても、既得権益層の圧力の前にかき消されてしまいます。マスコミも、真面目には取り上げず、社保庁をおもしろおかしく叩いて終わりです。
③結局、年金などの社会保障はどうしていくのか?
この点については、再三言っているように、世代論における自己優越主義に終止符を打つことです。具体的には、著者の言うとおり、賦課方式を今すぐやめて、積み立て方式に移行することです。賦課方式をやめることは、さほどハードランディングにならないということは本の中で解説されています。
実は、著者の試算によれば、私の世代は、積み立て方式への移行によって、年金では(賦課方式に比べ)トントンくらいですが、健康保険とか介護保険においては損をするとされています。
それでも、私は積み立て方式に移行することの方に理があると思います。何より、未来世代の希望を失うような負債は残すべきではないということです。(他にも、保険料率が一定になり、将来の予測可能性が高まるというのもメリットですが・・・)
政治的な難しさの解消に、フェアな精神による解決を期待するのは間違いなのでしょうか。この構図で将来に暗雲が立ち込めている分野はすごく多いので、やるせなさが募ります。ホントに難しい問題です。
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対談本だが解説的にまとめられている
ブログを読んだ方が
エピローグから読め。
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